創作資料に役立ちそうな、中世ヨーロッパの参考書籍をまとめています。中世といえば4~15世紀あたりを指すのが一般的のようですが、こと創作においてはいいとこどりで近代要素も交じっていたりするので、近現代資料は別記事を参照ください。(長くなったので分けました)

中世全般
おおまかに知りたいとき
「中世ってどんな感じ?」というのをおおまかに知るのによい資料たちです。2p見開き構成でイラストなどが添えられているものが多く、とにかく読みやすい。ただ、こういったタイプの書籍はたくさんあるため、目次などを参考にご自身の欲しい情報が載っているか確認するのが良いかもしれません。
新星出版社/2022.3.24発売/224p
より詳しく知りたい
[本]中世ヨーロッパの~シリーズ
講談社文庫のギース著のシリーズ。資料写真は少なく、ほぼ活字ですが当時の文献や資料を元に詳しく解説。その地域で起こったことを記載してくれているので、中世時代の解像度をよりあげたい方におすすめです。シリーズ7冊ほど出ているので、自身の描きたい部分に合わせて読むのがよさそうです。
・中世ヨーロッパの農村の生活
・中世ヨーロッパの城の生活
・中世ヨーロッパの都市の生活
・中世ヨーロッパの結婚と家族
・中世ヨーロッパの家族
・大聖堂・製鉄・水車―中世ヨーロッパのテクノロジー
・中世ヨーロッパの騎士
パッと見たときに「目次・構成が分かりづらい」と思った部分があり、目次を見るだけではなく実際に手にして読んでみるのが一番良いかもしれません。最寄りに図書館があれば探したり取り寄せたりしてみてください。
[webコラム]【異世界】一般人が中世ヨーロッパに転生したらどうやって生き延びる? 詳しい人に聞きました

設定のあら探しをするよりは「そういう世界になった理由」を考えるほうが楽しいんじゃないでしょうか。
たとえば中世ヨーロッパでは「ガラス」が大変な高級品だったのですが、ファンタジー作品では一般庶民の家にも窓ガラスがはめ込んであったりしますよね。こういうとき「それはおかしい!」と言うより「この世界では石英が豊富なのかもしれない」と合理的に考えてみるほうがストーリーに厚みが出てくると思います。
創作するなら持っておきたいマインド!笑 時代考証が気になる~という方も励まされつつ、勉強にもなり面白い記事かと思います。「それはそれとして世界史は勉強してください。」も刺さりますね……はい……。
【衣】中世の武具・装備・服
[本]西洋甲冑&武具 作画資料 超描けるシリーズ
リアルな西洋甲冑の歴史・資料から、それを用いたアレンジ方法まで掲載された創作者向けの本。イラスト豊富で分かりやすい。甲冑だけではなく武器や馬についても記載があるのがありがて~。(さいとうなおき先生も動画でおすすめされてました。)
[SNS]キャッスル・ティンタジェル 【 鎧・甲冑 / 西洋剣術 / アーマードバトル 】
14~15世紀の武器術で戦う、中世バトルを行うスポーツクラブさん公式SNS。動画や写真を用いたコラムは楽しく当時のイメージをつかむのに役立ちそう。いつもこっそり見ています。
[本]シナリオのためのファンタジー衣装事典 キャラに使える伝統装束118
中近世ヨーロッパ/日本(平安~大正)の服飾の歴史がイラストとともに解説されています。職業や階級別にも紹介してくれているのが嬉しい本著。
「どうやって着るのか」「服の構造」「後ろ側は」の細かい部分はわかりませんが、歴史や当時の雰囲気を掴むのには楽しい資料。
[本]イラストでたどる西洋ファッション年表
西洋特化。フルカラーで年代ごとでわかりやすくまとめてくれています。中流・上流階級がメインといった感じ。
▼ドレスなどのきらびやかな令嬢ものやロマファンに使えそうな近現代(16世紀~)ヨーロッパの服装については別記事にてまとめています。

【食】中世の食文化
[本]中世ヨーロッパのレシピ
主に貴族や王族の間で食べられていたものが、フルカラーで現代アレンジされて掲載されています。レシピ間に挟まれたコラムで当時の食文化なども垣間見られて興味深いです。著者さんの文章が独特で楽しい…笑
上記著書内にはドイツの修道女・ヒルデガルドについても記載が多数あり、11世紀から自然療法としてハーブや身の回りの食べ物が体へあたえる影響について説いていたという、現代にも受け継がれているというスーパーウーマンのレシピ(アレンジあり)です。
・[本]ドイツ修道院のハーブ料理: 中世の聖女、ヒルデガルトの薬草学をひもとく
・[本]ドイツ薬草療法の知恵 聖ヒルデガルトのヒーリングレシピ
※写真多めで読んでいて楽しかったものとピックアップ。
[SNSまとめ]中世パン図鑑
有識者が資料と図に基づいてまとめてくれているという……ありがとうございます。

【住】中世の建物
[本]トレスOK!背景カタログ西洋ファンタジー編
マール社さんの背景資料シリーズ西洋編です。商用利用可でトレスや模写OK。助かる。
こちらの一部写真は福島県「ブリティッシュヒルズ」(下記に紹介)というホテルの建物。
[ホテル]ブリティッシュヒルズ(福島県)

リアルに勝る資料なし…ヨーロッパ行くのは遠いし…という方には日本国内でもイギリスを体験できる最高の施設。宿泊棟となっているゲストハウスは「12~18世紀に建てられた英国の民家を「時代考証に基づき」再現されています。「時代考証に基づき」おたくの好きな言葉№1。(諸説あり)
公用語が英語なので、日本にいながら英国気分を味わったり、英国の文化を味わうことができる施設です。
[本]中世ヨーロッパの城塞
城攻めしたい方向け。中世ヨーロッパの城に特化した資料で厚みが2センチとボリュームがある。
白黒の写真、簡単な俯瞰図、テキストの構成が主。かなり多くの城が載っています。
[本]建築知識2024年4月号「中世ヨーロッパの建物と街並み詳説絵巻」
各国の中世時代の街並みを見開き2ページずつ解説されています。町の雰囲気や、街並みの俯瞰図などを描く場合に参考になりそう。あくまで街並み特化という感じなので細かな部分は別の資料が必要かもしれません。
なお、中世特化ではありませんが、洋館を描くなら建築知識『洋風住宅・洋館の用語辞典』もめちゃくちゃおすすめ。

[本]建築知識2025年10月号『英国の建物と街並み詳説絵巻』
中世特化ではありませんが、英国(イギリス)の古代~近代の建物について特集されています。
そのほか
・『中世ヨーロッパ 「勇者」の日常生活』…書き方が独特でまとめ資料としてはわかりづらいかも?(本当に中世ヨーロッパにドラゴンがいたら…というていで当時の世界観や価値観が綴られています。
▼中世しばりではない場合は、近世~の資料もまとめた記事がありますのでご参考ください。

おすすめ資料は随時募集しています!

